結婚は人生の中でも特に重要なお祝い事です。
その結婚式や披露宴のカタチは時代とともに変化してきましたが、これまでお世話になった方への感謝の気持ち、そして、お二人を祝福してくれる方への感謝の気持ちは同じです。
引き出物もまた、時代と共に変化しましたが、もっとも想いの込もった贈り物のひとつ。
結婚式や披露宴には年配の方から若い方、そして親戚もいれば、上司や仕事先の方もおられます。
「のし」はそんな多く方へ、贈り物とあわせて気持ちを表す、一つの表現です。

“熨斗(のし)”の由来は、薄く伸ばしたアワビを縁起物として贈り物に添えていたことからきており、後に昆布や紙が代用されるようになりました。
現在は簡略化され、印刷のしや折りのし(色紙を細長い六角形に折りたたんだもの)を使用したのし紙や祝儀袋が一般的となっています。
それに加え、品物と一緒に目録をつけて贈るというしきたりも簡略化され、相手に中身を伝えるためにのし紙の表書きを書くようになりました。
のし紙をかけることは昔から引き継がれている正式なマナーです。

表書きとは、のしの上段に書き入れる内容のこと。
結婚式・披露宴の引出物の表書きは「寿」や「御礼」など、結婚祝いには「御祝」や「寿」、結婚内祝には「内祝」と書くのが一般的とされています。

のしの下段には贈る側の名前を書きますが、書き方には3パターンあります。

いずれも下段中央に2列、右が新郎・左が新婦です。
新郎様の苗字のみで1列の場合もございます。
古くから結婚は「家同士の結びつき」と考えられているため、もっとも多いのが①の苗字を並べる書き方です。最近では本人同士の結びつきと考え②、③も増えてきましたが、上の世代では①にこだわる方もおられます。迷ったらお互いのご両親のご意見を参考にしましょう。

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水引(みずひき)は、のしについている飾り紐で、簡略化されのしと一緒に印刷されているものが殆どです。慶事での水引の本数は奇数(3本・5本・7本)を用います。
ただ婚礼の場合は別で、奇数の「5本」を2束で、10本1組の水引を選びます。
この10本1組の理由には諸説あり、婚姻関係を結ぶ両家が手を結び合う様子を表している説、
じゅうぶん(=10本)に満ちたりているなどの説があります。
色は紅白か金銀が定番で、向かって右側に濃い色(赤・金)がくるように結びます。
濃い色の組み合わせで赤金もありますが、その際は向かって右側に赤がくるようにされます。

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引き出物ののしの上にかける水引は、結婚の場合は基本的に結び切りの水引を使用することになります。
一般的な贈り物に使用するのは蝶結びの水引ですが、この場合は何度あっても嬉しい場合に使用するものとなります。
例えば出産やお祝いなどには蝶結びを使用するのですが、蝶結びは解けてしまうため、結婚式の引き出物には適さないものとなります。
そのため決して解けない、二度と繰り返さないと言う意味がある結び切りを使用するわけです。